ヴァレット/VARLET

仲間を導く”先導者”か……あるいは“支配者”か――。『ヴァレット/VARLET』は、自分が何者なのか。その問いに苦悩し成長する少年少女たちとの出会いを通じてアナタの知らない自分自身を探す学園RPGです。
FURYU CORPORATION · 2025年8月27日
RPGシングルプレイヤー
Steamレビュー
53%
賛否両論 · 121件
Metacritic
--
プレイ時間
...
現在価格
¥8,778
定価
過去最安値
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Steamレビュー
全期間
53%
賛否両論
121件
直近30日
58%
|
プレイ時間 39時間
おすすめしない
問題点は多々あるけど、放課後会話のシナリオが良かったからギリギリでGOOD投票しようかな~などとエンディング中に考えていました。
『1周のみでは放課後会話を全回収できない仕様』
『クリア後のセーブデータを保存できず、強くてNewGameによる拾い残しの回収も出来ない仕様』
これら悪魔のタッグに正面衝突されたショックで、上を向いてた親指は下を向き、私はお嬢様言葉とxxxxのどちらかしか喋れない舌になってしまいましたわ~~!!!
(もしもNewGame+とかが突然に実装されたとて、プレイ後冷静になった今は改めてBAD入れそうですが)
以下の長ったらしいレビューは、本作に対し、過去作【モナーク】の進化した姿を期待していた人が書いたものであることを念頭においてくださいまし。
取り上げたい問題点は、軽微なものから順に以下の通りですの。
①テキストのミス?
②縦軸の不足
③情報提示の拙さ
④ダンジョン構成の退屈さ
⑤一貫したコンセプトが無かったのではないかという疑い
①テキストのミス?
これは単純に、『昨日会った生徒について会話しているハズが、今朝出会ったかのように会話が進行する』『今まで姉さんと呼んできた相手に、やっと姉さんと呼んでくれたね、と言われる』といった、重箱の隅めいた部分ですの。
記憶が確かならSSS活動中のトライアドジャッジにて、男子トイレが男子トレイになってたりしましたわね。
あと、テキストではありませんが、江茉ちゃんのボイスが欠落してた場面がありましたわ。
放課後イベントin映画館の「ありがとうございます! また、映画観に行きましょうね、先輩!」のセリフが欠落していましたの。びっくりしてf12押しましたのね。
まあ軽微なモノではありますが、過去作では見られなかった(ないしは記憶に残らなかった)たぐいの瑕疵ですので、気になってしまいますわね。
②縦軸の不足
過去作との比較になってしまいますが、本作は、主人公達を強烈に突き動かすフックが不足しているように思いますの。
本作のシナリオを一文に圧縮できない、と言い換えていいかもしれませんわね。
『封鎖された学園から脱出せよ!』(モナーク)
『理想にして虚偽の楽園から帰還せよ!』(カリギュラ)
『妹を蘇生せよ!』(クライスタ)
『自らが人間だと証明せよ!』(クライマキナ)
私の遊ばせていただいたフリューゲームは、こうした動機が存在し、それに沿ってシナリオが展開していきました。ですがヴァレットはそうした要素に乏しく、特に序盤・中盤は眼前の問題ひとつひとつに場当たり的対処を繰り返した印象がありますわね。
SSSの活動を頑張って、その先には? グリッチを潰して、その先には?
無論、生徒からの問題を解決していくSSSの活動は尊いものではありますが、それによって『状況が変化した、という感覚』が得られなかったことが、シナリオに味気なさを齎していたように感じますの。
思えば、SSSの活動を続けるなかで生徒からの認知度上昇……みたいなイベントもありませんでしたわね。
またこの問題はもう一つの問題を内包しているように思います。
本作、主人公をナビゲートする存在が……モナークにおける意味深まっくろウサギやら、カリギュラにおける世界破壊系ボカロがいないんですのよね。
『コイツの言うことを聞いておけば、ちゃんとシナリオが進む』『分からないことがあったらコイツに聞けばなんとかなる』という配役が無い。それらが活動するための目的が無い。
非日常へ向かうための導線が不足している、ということですわね。
(MENAは相談AIに過ぎないため主体的にプレイヤーを先導せず、優里はあくまで一般人枠ですの。クイントは各章1回の顔見せなのでシンプルに論外)
書いていて気付きましたが、これが③に繋がってきますわね……
③情報提示の拙さ
本作の主人公たちは、【革命体/リベルタドール】に変身することで、本来なら干渉不能の敵存在、デザイアに抗いますの。
この前提を知っているわたくし、思いました……『主人公が何かしらの危機に陥り、どん底で革命体に変身して反撃するのでしょうね!』と。
危機に陥る前日、あらかじめ夢の中で目覚めました。
そんなことありますの?
仲間たちも能力が必要になったら、危機に陥る前にぬるっと目覚めました。
そーんなことありますのぉ??
本作はこれに限らず、重要なシーンや情報を、セリフや最低限の演出だけで簡素に済ませるきらいがあると、わたくし考えておりますわ。
その割に1章冒頭の或花ちゃんムービーは凝っていましたが、あれの真相もセリフですーっと説明されましたわね……
これではわたくし、感情移入して盛り上がるに盛り上がれませんの。
原因には、前述したようなナビゲート役の不在が大きいと思いますわ。
主人公を日常から非日常へ引っ張り込む存在がいない。ゆえに、非日常について十分な知識を持った存在がいないままシナリオが進む。それでシナリオが成り立たなくなる場合、その不足分は虚空から情報が引っ張り出されて強引にシナリオが進行させられる……
演出不足については予算不足かしら? いいえ、せっかく凝った演出を用意しても、それをプレイヤーに理解させる補足説明手段が無いのですから、演出するだけ無駄と判断されても致し方ありませんわ。だってモナークではキレッキレの演出が複数ありましたもの! バニタスとの会話中にニヒル/花譜が流れたときにはわたくしの目からもドバドバと涙が――
話を戻しましょう。
都市伝説だったはずのグリッチについて、優里お姉ちゃんがやたら流暢かつ正確な説明を始めたときは面白さが勝りましたが、【グリッチアカウント】なる概念を、途中から味方チームが使い始めたのにはびっくりいたしましたわね。
セリフ上でしか存在を確認できないものが、割とメインシナリオにて存在感を放ってくるのは、個人的にいただけませんの。主人公とプレイヤーの間の情報格差を感じてしまいますわね。
そういえば、主人公がプレイヤーの知らない過去を複数持っている、というのも結構な問題に思えますが、根本はこの③に共通するので省略いたしますわ。
④ダンジョン構成の退屈さ
シナリオ面での意見が結構長々と続きましたので、味変ということでダンジョン構成を掘っていきますわ。比較対象となるのは当然、モナークにおける『霧の中』ですの。
前作では、主人公は学園封鎖の原因である『悪魔契約者』を倒すため、悪魔の根城に踏み込み、3つある契約の証【イデア】を破壊をしていきます。ですが悪魔の根城にたどり着くには、人を発狂させる霧が充満する校内を抜けねばならない上、発狂済みの生徒たちはエキセントリックな謎解きを用意して主人公一行を足止めします。
この形式の優れた点はふたつ。
一つ目、霧によって頭が不思議になった生徒の妨害を解く、それ自体が一種の短編小説めいた、オチのあるものになっていたことです。例えば時空間を操る悪魔の霧の中には、時計に絡めた謎解きが。色恋に係る悪魔の霧の中には、偏執的な愛で主人公につっかかる発狂済み生徒が……というように、バリエーションが豊富になっていましたの。
翻ってヴァレットでは、パズルパズルパズルでしたわね……これわたくし、あまり好きじゃありませんの。なんで欲望から造られた承認欲求ワールドにパズルがありますの?
そして二つ目、イデアの破壊に際して、主人公は『契約者である敵キャラの本音』を垣間見ることができるのです。これが個人的に秀逸極まるシステムであり、思いついた方に固く握手させていただきたいモノですの。
決して自分の口からは語ることのないであろう、弱み、隠したい過去、罪、絶望。それらが、プレイヤーの手で砕かれた後に、砕かれた後に!! 未練がましく上映される。或いは、それらを契約者が自分の口で語り、主人公への信頼の証とする。
何かに似てませんこと?
ヴァレットのダンジョンの中盤に設置されてる一方通行マークとなんか……似てませんこと? まあ演出面では比べるべくもなく簡素化されていましたが。
『グリッチの持ち主の欲望に同意しなければ進めない』というのも面白そうな響きではありますが、結局後半は省略されましたし……こっちはよく分からないシステムでしたわね。
⑤一貫したコンセプトが無かったのではないかという疑い
最後にわたくし、ひとつの疑いを打ち明けさせていただきます――ヴァレットは、『カリギュラとモナークの合体』以上のコンセプトを持たずに設計されたのでは?
今作で個人的に『これ何のために存在したのかしらね』要素が二つあります。
『ジョハリ』と『ディクタトール』ですわ。
ジョハリは、前述のXRを前提としたSNSですの。軽率な言葉を使えば、ツイッターとVRChatの究極融合進化系といった感じかしら。
SNSですのよ、ジョハリは。
使う人間の承認欲求を増幅させちゃうような、他人と繋がるのが前提、人間関係がメインコンテンツのネットワークですの。
決して落とし物探索ソナーではありませんのよ!!!!
にも拘らず、本作においてジョハリは――口さがない言い方をするなら、怪物発生ギミック以上の存在価値が無いではありませんか。これがSNSとしての機能を一切持たず、単なるAR広告用システムであったとしても、シナリオは問題なく進行してしまうのではなくて?
ディクタトールについても同様ですわね。
作中では圧制を敷いてくる敵に対し、仲間と共に立つのでなく、己の力で反抗する独裁革命者として描かれましたが……さて、これがシナリオに何か関与しましたか、と問いましょう。
副作用として口調が粗野になるようですが、それ以上の変化は特になく。単にアナザーフォームひとつ獲得しただけ。
仮にこれをメインシナリオに絡め、分岐に関わるくらいに重い概念として扱うならどのように致しましょうか? トライアド診断よろしく、メインシナリオ中のあらゆる選択肢、ないし行動によって分岐用のポイントが溜まる、いわゆるカルマ値めいた扱いにするのが一つの落としどころかもしれませんが。
有っても無くても大して変わらないのに、さもゲームの根幹であるかのようなでかでかフェイスで公式pvやサイトに登場する2要素。なぜこれらを公式は重要視しているのかしら?
承認欲求という若者の心に刺さるガジェットと、黒赤のデザインで描かれる主人公の裏フォーム。
……これらは、過去作の持つ要素に近づけるためだけの、ただ在るだけでいい張りぼてだったのでは?
そして、それら以上のコンセプトを打ち出せない、迷走の権化こそがヴァレットだったのでは?
放課後会話の或花がめちゃめちゃ可愛かったり、6章のボスは信じられないくらいビジュが良かったりと、美点を探せば見つかる作品ではありましたが……次のフリュー作品は様子見したい気持ちで一杯ですわ……
2025/9/832人が参考になった
プレイ時間 34時間
おすすめしない
エンディングまでクリアしました。プレイ時間33時間弱。1チャプターおよそ4時間ほど。
フリューから出ている他のゲームはカリギュラOD、カリギュラ2、モナークをプレイしたことがあります。特にカリギュラ2については2ndプロモーションPVをきっかけにキャラクター造形・楽曲・シナリオに惹かれてクリアしてからも自分の好きな作品として強く思い出に残っています。
本作品も同様に2ndPVにて強く興味を持ちました。架空の技術が発達している学園、仲間になるキャラクターと各章毎のボスとの対比演出、コンポーザー提供による魅力的なボーカル有の楽曲の数々は上記の他作品を彷彿とさせました。無意識でしたが期待値はかなり高かったです。結論から言うと、ヴァレットの読後感は好みに合っていました。終わりよければ……という言葉に従えば自分としては遊んで良かったと思いますが、いくつか腑に落ちない点があり、他の人におすすめするには躊躇します。
楽しみにしていた要素のひとつがキャラクターシナリオ・仲間メンバーとの交流です。しかし、これらは一周では全員分のシナリオを読みきることができません。ゲームの進行上、交流回数に限りがあり、その数よりキャラクターシナリオの数が上回っているので、別途セーブデータを用意するか周回が必要になります。発売前は仲間キャラクターの魅力を強く推したプロモーションがなされていましたが、その魅力が伝わる機会が想定より少ないことが衝撃でした。特別な関係が複数に及ぶと修羅場に発展する要素もあると聞きましたが、その前にまず全員と一定以上の関係性を築きたかったというのが正直なところです。
メインのシナリオについて、7章終盤にかけてからの展開は面白いと感じました。というのも、この辺りで用語の理解が追いついたからです。それまではグリッチ、デザイアについて本編では都市伝説上の謎めいた存在であり、主人公たち一同は一応それらに巻き込まれた形なのにものすごく順応性が高く、若干置いてけぼり感をくらいました。特にグリッチアカウントについては終盤に解説が入るまでは用語集にも表記がなかったのでその単語が出るたびに何だっけ……となりました。(もし注釈がありましたら見落としています。すみません。)終盤より以前の章は、トラブルが起きる→グリッチの持ち主(デザイア?)は誰なのか→その根拠を主に相談室で推理する→衝突、解決の流れで、物語の流れは起承転結と揃っていますが、カタルシスに少々物足りなさを感じました。カリギュラシリーズにおける現代病理、モナークにおけるエゴに相当するものが、今作では「承認欲求」だと捉えています。しかし、仲間メンバーの「誰かに認められたい・賞賛されたい」という欲望の描写が浅く、キャラクターが異世界の姿に変身する動機としても弱く感じました。結果として物語の推進力やキャラの内面描写に十分つながっていなかったように思います。
UIとシステム面について
• アイテムの種類が乏しく、選択肢の幅を感じにくい。所持金の使い道がない。
• 放課後のSSS活動で得られるメリットが薄く、やり込み動機につながらなかった。必要性が感じられない。
• YES/NOの選択肢がわかりにくい。慣れればなんとかなりましたが、それでも何回か間違えました。直感的に分かりにくいです。
• アートデザインブックに掲載されていた初期の生徒名簿設計(トライアド表記付き)の方が分かりやすかった。完成版の方では長所/短所と好きなタイプ/嫌いなタイプを横並びに揃えた方が見やすいと思います。
• グリッチ内におけるエグザミンとコールの必要性。
トライアド診断に関して、これは自分の遊び方が悪かったのですが、どの属性にもあまり偏らないでいると、本編では突出したトライアドによる専用の選択肢とあまり遭遇できないのかもしれません。自分のプレイですがゲームを通して5回くらいしか登場しませんでした。戦闘面での恩恵はマキャベリズムが一強といった印象でした。試みはとても面白く強く興味を惹きました。
期待値が高かった前提こそありますが、けれども、それらを差し引いても今作ヴァレットはゲームプレイの快適性への作り込み、シナリオのインパクト、テーマ性の脆弱性、ゲーム全体としての個性が"弱い"と感じました。それでも、ゲームの雰囲気やキャラクターデザイン、提供される楽曲は非常に魅力的に映ります。次があるならば、その熱意を直に伝わるような感じられるようなものであってほしいです。
2025/8/3123人が参考になった
プレイ時間 10時間
おすすめしない
カリギュラ2の空気が吸えると思い意気揚々と買ったプレイヤーとしては、悲しいがカリギュラ2の方が面白いと言わざるを得ない。
正直なところ4年前に発売されたカリギュラ2の劣化である。
【シナリオ】
・なぜかカリギュラ2よりキャラクター個別シナリオの描写量が減っており、しかも浅い
・メインシナリオについても、キャラクター同士の衝突、葛藤といったものが一切なくなり、カリギュラに没頭したプレイヤーが愛した”尖り”が無くなっている。
→ 尖りが無くなって王道シナリオとして面白いかと言われると、こちらも描写量が足りず全く乗れない
・カリギュラ2ではしっかり描写されていたカタルシスエフェクトの発現について、こちらはもうひどいなんてもんじゃない。
ダンジョンに入ったらご都合的に戦えるようになっている。なろう小説かよ。
【戦闘】
・カリギュラ2では完璧にはまっていたイントロ→ボイス入りのBGM変遷、戦闘のスタートといった乗れる演出から超絶もっさりとした戦闘に劣化している。
・肝心の戦闘も全く面白くない。要素要素を見ていけば面白くなる要素が無限にあるものの、敵の行動などが練られておらず、やりとりを全く感じない。基本的には初動に相手の行動をキャンセルしてたこ殴りにするだけ。
ガード、バフデバフを全く使わない、というとRPGの戦闘としてつまらないことが伝わるだろうか。
総じて、カリギュラシリーズの雰囲気を期待して買うことは全くおすすめできない。
今から記憶を消してもう一回カリギュラ2遊べないかな……
2025/9/413人が参考になった
プレイ時間 83時間
おすすめ
※実プレイ時間約60時間・全実績全解除済レビュー
フリューの学園RPG、惜しい点だらけだけど結局2周遊びました。
音楽・声優の演技といった副次的要素に魅力を感じる方なら、十分楽しめる作品。
⸻⸻⸻
【世界観・シナリオ】★★★☆☆
学園ジュブナイル×拡張現実×承認欲求というテーマ自体は面白いですが、現状の作中描写は表面的で、テーマの本質にはほとんど踏み込めていない印象です。
特に、所謂SNSによる他者可視化や承認欲求の相互作用によって生じる少年少女たちの葛藤や繊細な心理の揺れ動きが、物語やキャラクターの行動に十分に反映されておらず、訴求力が無いため体験としての共感やテーマとの結びつきが薄い印象です。
ジョハリなどの要素も拡張現実を演出するための装飾として消費されており、作品全体の緊張感や心理的深みは乏しいと言わざるを得ません。
【キャラクター】★★★☆☆
表面的な部分では、アニメ調のモデルは、モブを含めて全体的にクオリティが過去作から大きく引きあがっており好印象でした。
特に会話中に3Dモデルの表情が変わるのも没入感を高めてくれます。
一方で個性・性格・関係性・背景情報といった内面的な部分に目を向けると、キャラクター同士の関係性は「わかりやすさ」を優先して描かれており、物語進行上の役割は果たしているものの、個々の人物が持つ矛盾や葛藤といった深みには乏しく、人間的な魅力が希薄です。
特に承認欲求や他者からの評価といったテーマに密接に関わるはずの心理的葛藤が十分に掘り下げられておらず、結果としてキャラクターの言動が予定調和的に収束してしまっています。そのため、彼らと共に「悩み、共感する」といった体験には繋がらず、印象としては舞台装置としての便利なキャラクター群に留まってしまっている印象です。
フリューのタイトルはどちらかというと後者を求められる立場にあると考えているので、今回は純粋にNot For Meな印象でした。
【音楽・サウンド】★★★★☆
有名なボカロPの皆さんと声優による歌唱楽曲はいずれも完成度が高く、特に「継承」はメロディーラインを含めて印象的で、個人的なハイライトとなる楽曲でした。
BGMについてもシーンのテンションや雰囲気に添っており、作品を通して快適に進められる仕上がりになっています。
一方で、キャラクターの掘り下げが浅く心理的共感を得にくいため、本来であれば強力なエモーションを喚起できるはずの歌唱楽曲が、プレイヤー体験に十分結びついていない点は非常に惜しく感じました。楽曲の質自体はとても高いクオリティのため、音楽が物語やキャラクターの内面を補完し、体験を拡張するというレベルまで踏み込められれば、より強い訴求力があったのではと思います。
【システム・ゲームプレイ】★★★☆☆
全体として、システムは一見すると新しい仕掛けや遊びやすい要素が揃っているものの、実際のプレイ体験としてテーマやキャラクターとの結びつきが弱く、結果として満足感が伸び悩んでいる印象です。
<良かった点>
・トライアド診断
MBTI的な診断をゲーム内に組み込み、結果によってステータスや選択肢が変化する点はユニークで、第一印象としては「新しい仕掛け」として効果的でした。診断内容も意外と本格的で専門家が関わっているのではと感じるほど。
・交流
青春らしい寄り道や会話のシーンはノスタルジックで、ノベルゲーム的な「一瞬の輝き」を感じさせます。車窓に映る青空などの演出はプレイヤーの感情を刺激し、理想化された学園生活の追体験を提供していました。
なお、実績の解除のみを狙う場合は5章8の交流から始めると7章5日目?(キャラによっては3日目)で解除できかつそこまで時間もかからないのでお勧めです(奏汰はレベル36必要)。
・バトル
敵の行動を先読みして味方の行動を組み立てるシステムは、戦術的で楽しめる部分でした。
特にCBで敵を封殺できた際の爽快感はしっかり存在しており、プレイしていて楽しかったです。
<良くない点>
・選択肢UIの不親切さ
選択肢が視覚的に直感的でなく、押し間違えが頻発する点は、基本的な操作性として減点材料です。
・操作性の煩雑さ(キーマウ操作)
AR広告展開中の挙動などは一度キャンセルしなければ別のアクションが出来ないなど、無駄な1アクションを挟むケースが多く、ユーザビリティに難があります。快適さよりもシステムの複雑さが先行してしまっている印象です。
・SSS活動の形骸化
達成後特にインセンティブがなく純粋な作業になってしまっています。
本来であれば「承認欲求」や「他者可視化」と絡められる絶好の場面なのに、単なるイベント消化に留まっている(もしくはスキップを提供していることでそれすら留められていない)のは、テーマとシステムの接続が断絶しているような気がします。
【演出・ユーザー体験】★★☆☆☆
<気になった点>
・単調なダンジョンと不安定なバックアタック
本作では宝箱を拾う意味がほとんどなく、実質一本道です。そのうえでバックアタックが正常に発生しない場合があるなど、ストレス要因となっています。
・周回性の悪さ
1周で全キャラクターのエピソードを閲覧できず、周回前提の構成となっているにもかかわらず、周回性が非常に悪いです。特にスキップ機能が無い点に加え、キャラクターの細かい動作やPAN UP・PAN DOWNといったカメラアクションが逐一挿入されるため、読み飛ばしをしてもテンポが悪く、交流シーンにたどり着くまでに億劫さが先立ちます。結果として「もう一度遊ぼう」と思う前に離脱してしまうリスクが高いと感じました。
・昼と夜の演出
授業中に主人公が左上を見上げてぼんやりしているだけの謎の昼時間や、交流の直後にもかかわらず不自然なテンションで湿度の高いメッセージを送りつけてくる夜のチャットなど、意図が読めない演出が散見されます。とくに夜のチャットは、キャラクターの一貫性が損なわれており、プレイヤーを戸惑わせてしまいます。
⸻⸻⸻
色々と惜しい上にシナリオに人生の糧となるような思想・哲学を見いだせない点で惜しいと思いましたが、ふたを開けてみたら2周も遊んでいたのでお勧めということで。
2025/8/3112人が参考になった
実況・プレイ動画(YouTube)
配信・アーカイブ(Twitch)
¥8,778